RESEARCH NOTE / COFFEE LABORATORY
CL-1889家の水で味が変わる?ミネラルとpHがコーヒー抽出に及ぼす仕組みと家庭での検証法

「家の水で味が変わる」――なんとなく聞いたことはあるけれど、何を見ればいいのか、どこまで変わるのかは分かりにくい。まずはアルカリ度・pHなどを手がかりに紐解いてみよう。
でもこの場合、あるんだろうなぁ。
しかし、真実はわからんしのぉ。
困ったのぉ・・・。
水を選ぶときの「見るべき指標」
家庭で水を評価する際の主要な目安は、TDS(Total Dissolved Solids)、アルカリ度、pH などです。TDS(Total Dissolved Solids)とは、簡単にいうと「全溶解固形分」ですね。業界のガイドラインでは、TDS の目標値が約150 mg/L(許容レンジはおおむね75–250 mg/L)、アルカリ度の目標は約40 mg/L(おおむね40–70 mg/L付近が許容範囲)、pH の目標は7.0(おおよそ6–8が許容)といった数値が示されています。ここで1つ注意なのですが、これらは「目安」であり、絶対値ではないですよ。
pHとアルカリ度が酸味と香りに与える仕組み
まずアルカリ度について。アルカリ度が高い水は、抽出中に存在する酸を中和しやすく、結果として口に感じる「明るい酸味」を鈍らせる方向に働くことが示されています。つまり同じ豆・抽出条件でも、アルカリ度の違いで酸の印象が変わり得るんですねぇ。
一方でpHは揮発性と香りに関係します。低分子の有機酸は、そのpKa 以下(pHが低い)ではプロトン化された形が増え、プロトン化形は揮発しやすいため、pHが低めの状態では一部の酸がヘッドスペース(香りの側)に出やすくなる、と報告されています。抽出液や抽出水のpHが香りの成分の検出や嗅覚への寄与に影響する可能性があります。
イオン別の作用:計算と実験で何が異なるか
ミネラルの種類ごとの影響についてはいくつかの研究が報告されています。理論的な計算(量子化学や熱力学的解析)では、同モル濃度で比較した場合にMg2+ が Ca2+ よりも一部の有機酸やフレーバー分子と強く結びつきやすい、という示唆が得られています。
実際の添加実験では濃度に依存する結果が出ています。飲用水濃度帯に近い約100 ppm相当の添加では酸類の濃度変化は小さく、極めて高濃度(例:1000 ppm)では酸種によって増減がみられ、1000 ppm の MgCl2 添加でマリック酸が約40%減少した、という大きな変化が観察されています。その実験では添加濃度が約100 ppmと1000 ppmで行われました。
また、その実験ではプレ/ポストブリューの比較で大きな差が出ないことから、観察された酸濃度変化にはブリュー後のイオンと酸の相互作用(錯形成や分析上の回収差)などが関係している可能性が指摘されています。
家庭でできる測定と製品の使い方、注意点
家庭で手に入る道具や製品の代表例と限界は次のとおりです。
- 硬度試験紙・ストリップ:Total hardness を色判定で示す簡易ツールで、家庭用はおおむね0–425 ppmのレンジを扱います。目視の色合わせに依存するため定量精度は低めです。
- 滴定式キット(家庭向け):総硬度を定量的に測れる製品があり、レンジは1–30 gpg 程度。手順が必要で操作に再現性が左右されます。
- ポケット型pHメーター:家庭用のものは0.0–14.0 pH 測定ができ、分解能0.1 pH、仕様上の精度は±0.1 pHといった製品があります。電極の管理や校正が測定精度に影響します。
- TDS/導電率メーター:導電率から換算したTDSを短時間で示すハンディ機器がありますが、総量は分かっても個々のイオン種は識別できません。
- 再ミネラル化製品(例:プロファイルスティック):製品によっては目標TDS(例:約150 mg/L)や用いるミネラル種を示すものがありますが、想定は蒸留水やRO水をベースにした場合の目安で、元の水の組成が高いと期待どおりにならない旨が明記されていることが多いです。配合の個別量を公開していない場合もあります。
ナトリウム(Na+)については、微量の増加でも塩味や「クリーンさ」の評価に影響するという報告があります。極微量の違いが感覚に出ることもあります。
測定の扱い方が結果を左右するという視点
測定手順や機器の扱いは、得られる結果とその解釈に関係します。業界のハンドブックでは測定手順や機器の使い方を参照するよう案内されています。家庭での簡易測定は傾向をつかむ用途には使えますが、測定方法や前処理によって値が変わり得ます。
数値は目安です。数値は目安です。
結果
「ミネラルとpHがコーヒー抽出に及ぼす仕組みと家庭での検証法」は以上の通りで、「家の水で味が変わる?」の部分はたしかに変わる、でした。